シーン6:安岡の部屋(ラストライブを終えた夜)
ストリートライブが終わっても、ただ1人いつまでも拍手し続けるマコト。
安:「やめろよ。もういい」
マ:「すみません・・・。」
安:「来いよ。みんなだって、そう毎日じゃ迷惑だろ。」
マ:「・・・いいんですか?!」
連れだって安岡氏の部屋へ向かうふたり。その二人を見送る4人。
村:「俺の演技力のおかげだな。」
北:「俺だって徹夜で台本書いたんだよ?でも、リーダー台詞違ってたけど、アドリブ?」
村:「ごめん。台詞長くて、覚えきれんかったわ。」
黒:「俺の歌も評価してくれよ。」
村:「・・・俺がリードとったっていいんだぜ!?」
酒:「なにはともあれ、お疲れさま、ということで・・・。」
♪ 〜 今日が終わる前に 〜
安岡氏の部屋。
マ:「このギター・・・。このころから引いてなかったんですね。」
何十年後かに譲ることになる弦の切れたギターを抱えて、ぎこちないながらも親子の会話をかわす安岡とマコト。
安:「俺のことゴスペラーズだって言った!?」
マ:「それはちょっと・・・。でも、聞かれたことがあります。『あなたのお父さんは、いつまでヤングって呼ばれるの?』って。」(会場笑)
その部屋を見守るように、ステージ中段に腰を降ろした4人。
北:「子供のころ、考えたことない?
もしかしたらこの世界は、誰かが見ている夢なんじゃないか、って。」
北:「考えたんだよね、昨日。もしかしたらこの世界は、鉄橋の上で
気を失っているマコトくんの見ている夢なのかもしれない・・・って。」
黒:「マコトくんが目を覚ましたら、この世界も消えちゃうってこと?」
北:「わからないけど、もしそうなら、いい夢見せてあげたいじゃない。
目を覚ましたとき、すべての痛みが消えているような・・・。」
黒:「5月の風に抱かれているような、いい夢を、ね。」
♪ 〜 永遠に 〜
安:「ひとつだけ聞いていい?おかあさん。俺の奥さんって、どんな人?」
マ:「知りたいですか?本当に?」
安:「あーっ待って待って、やっぱりいいっっ!!」
マ:「異常な愛し方でした。」
安:「いや、もういいからっ。」
マ:「それはもう、幼心に恐怖を感じるくらいに・・・。」(会場大爆笑)
すっかりなごやかムードの安岡とマコト。やがて夜も更けて眠ることに。
ベッドの上に横になる安岡氏、床に転がってクッションを抱えたマコト。
ふいに安岡が起き上がる。
安:「なぁ・・・。目が覚めたら消えてる・・・なんてこと、ないよな?」
マ:「わかりませんよ。一晩眠ったあとなんて、そんな先のこと。」
安:「そうだな。じゃあ、お別れ言っておかなきゃな。・・・さよなら、マコト。」
マ:「さよなら、父さん。」
♪ 〜 星屑の街(新曲)〜
歌の途中で真っ黒だった会場の壁に、小さな明かりが一斉に灯る。それはまるで一面の星空のよう。
4人のコーラスが流れる中、立ち上がるマコト。
マ:「父さん、起きてますか。この前の答えですけど・・・何しに来たのか、って。」
安:「見つかったんだ・・・!」
マ:「答えっていうほどカッコいいものじゃないんですけど。ただ、この歌を
聞きに来たのかなって。いつまでも5人で歌い続けている、この歌を。」
安:「歌ってるんだ・・・この、5人で。」
マ:「はい。いつまでも。・・・いつまでも。」
安:「いつまでも・・・。」
ボリュームアップするコーラス。
芝居はここで終了。全員で挨拶の後、いったん引き上げる。
そして、マコトと安岡氏が手押し車(笑)で登場。
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