アカペラ街レポート

アカペラ街 3/31

シーン6:安岡の部屋(ラストライブを終えた夜)

 ストリートライブが終わっても、ただ1人いつまでも拍手し続けるマコト。
 安:「やめろよ。もういい」
 マ:「すみません・・・。」
 安:「来いよ。みんなだって、そう毎日じゃ迷惑だろ。」
 マ:「・・・いいんですか?!」
 連れだって安岡氏の部屋へ向かうふたり。その二人を見送る4人。
 村:「俺の演技力のおかげだな。」
 北:「俺だって徹夜で台本書いたんだよ?でも、リーダー台詞違ってたけど、アドリブ?」
 村:「ごめん。台詞長くて、覚えきれんかったわ。」
 黒:「俺の歌も評価してくれよ。」
 村:「・・・俺がリードとったっていいんだぜ!?」
 酒:「なにはともあれ、お疲れさま、ということで・・・。」

 ♪ 〜 今日が終わる前に 〜

 安岡氏の部屋。
 マ:「このギター・・・。このころから引いてなかったんですね。」
 何十年後かに譲ることになる弦の切れたギターを抱えて、ぎこちないながらも親子の会話をかわす安岡とマコト。
 安:「俺のことゴスペラーズだって言った!?」
 マ:「それはちょっと・・・。でも、聞かれたことがあります。『あなたのお父さんは、いつまでヤングって呼ばれるの?』って。」(会場笑)
 その部屋を見守るように、ステージ中段に腰を降ろした4人。
 北:「子供のころ、考えたことない?
    もしかしたらこの世界は、誰かが見ている夢なんじゃないか、って。」
 北:「考えたんだよね、昨日。もしかしたらこの世界は、鉄橋の上で
    気を失っているマコトくんの見ている夢なのかもしれない・・・って。」
 黒:「マコトくんが目を覚ましたら、この世界も消えちゃうってこと?」
 北:「わからないけど、もしそうなら、いい夢見せてあげたいじゃない。
    目を覚ましたとき、すべての痛みが消えているような・・・。」
 黒:「5月の風に抱かれているような、いい夢を、ね。」

 ♪ 〜 永遠に 〜

 安:「ひとつだけ聞いていい?おかあさん。俺の奥さんって、どんな人?」
 マ:「知りたいですか?本当に?」
 安:「あーっ待って待って、やっぱりいいっっ!!」
 マ:「異常な愛し方でした。」
 安:「いや、もういいからっ。」
 マ:「それはもう、幼心に恐怖を感じるくらいに・・・。」(会場大爆笑)
 すっかりなごやかムードの安岡とマコト。やがて夜も更けて眠ることに。
 ベッドの上に横になる安岡氏、床に転がってクッションを抱えたマコト。
 ふいに安岡が起き上がる。
 安:「なぁ・・・。目が覚めたら消えてる・・・なんてこと、ないよな?」
 マ:「わかりませんよ。一晩眠ったあとなんて、そんな先のこと。」
 安:「そうだな。じゃあ、お別れ言っておかなきゃな。・・・さよなら、マコト。」
 マ:「さよなら、父さん。」

 ♪ 〜 星屑の街(新曲)〜

 歌の途中で真っ黒だった会場の壁に、小さな明かりが一斉に灯る。それはまるで一面の星空のよう。
 4人のコーラスが流れる中、立ち上がるマコト。
 マ:「父さん、起きてますか。この前の答えですけど・・・何しに来たのか、って。」
 安:「見つかったんだ・・・!」
 マ:「答えっていうほどカッコいいものじゃないんですけど。ただ、この歌を
    聞きに来たのかなって。いつまでも5人で歌い続けている、この歌を。」
 安:「歌ってるんだ・・・この、5人で。」
 マ:「はい。いつまでも。・・・いつまでも。」
 安:「いつまでも・・・。」
 ボリュームアップするコーラス。

芝居はここで終了。全員で挨拶の後、いったん引き上げる。
そして、マコトと安岡氏が手押し車(笑)で登場。

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